介護施設では様々な職種が働いている。その多くが介護職だが、各施設に一名から二名程度、相談員と呼ばれる職種が働いている。相談員はその多くが社会福祉士の資格を持って事務所を基点として就労し、入退所のベッドコントロールを行い、新規の入所相談や各機関との調整・連携を行う。介護施設と言っても、現在は市場原理によって競争社会となっている営利企業であるので、現場の中心的職種である介護職や看護職の利益と、法人の利益や近隣医療機関や居宅介護支援事業所のニーズとは相反する場合が多く、それを無制限に受け続けると、現場からの不満が発生してしまう。そのバランス調整も相談員の仕事なのだが、福祉で一番難関の社会福祉士を持ち、事務所で1~2ポストの一人はやはり介護職からするとマイノリティーであり、体制側の先兵として現場から批判の的となってしまう。また施設長を含む体制側からは、営業力・統率力・気転を求められる共に、どちらかに偏らないうえで、いよいよとなれば体制側利益を優先する事を求められる。現場・事務方を問わず、クレームやトラブル処理の窓口となっている施設も多く、施設の運営に期待を背負って寄与するという遣り甲斐と、現場からの嫌悪や憎悪の目など、多くのジレンマを抱える職種となっている。そのジレンマを相談する同職種もいない場合もあり、孤独と喪失感で退職する相談員も少なくない。介護施設は介護職のみではなく、様々な職種が連携して働いているが、相談員は介護職以上に専門職としての高いスキルとライセンスがあるにもかかわらず、割合としては介護職並み又はそれ以上に高い離職率と言える。相談員を含む介護施設労働者の仕事中の苦労話は大変多く、今より環境のよい施設に転職する介護施設労働者も多く居る。